ローリング内沢のゲーム イズ ノット オーバー
- Game is not Over -
ステージ90:最近面白かった、低年齢向けのゲーム
夏休みまえやクリスマスシーズンと同じく、ゲーム業界では毎年3月にたくさんのゲームソフトが発売されるんですよね。いわゆる発売ラッシュってヤツ。その理由、わかります? なぜなら3月は、会社が1年間のお金の会計を締めくくる決算の時期だから。
4月を1年間のスタートして新学期が始まる学校と同様に、会社も4月1日が1年間の始まり。で、翌年の3月末がちょうどその1年の締めくくりとなるので、その締切に合わせるために、多くのゲームがリリースされるんです。
ただ、そのなかには、3月中に発売して決算時の業績を少しでも良くするためにと急いで作られる作品もあり、そういう意味では作り込み不足のゲームが多かったりすることも……。
とくに、アニメやマンガを題材にした低年齢向けのゲームに、そのような傾向が見られがち。ちょうど3月?4月は、テレビ業界も番組改編の時期なので、アニメが終了するまえにゲームを発売しなければいけなかったり、というモロモロの事情もあるんですよね。
まあ、そのようなことを除いたとしても、アニメやマンガを題材にした低年齢向けのゲームって、いままで「うむむむ……」という作品が多かった印象。人気のあるキャラクターだけに頼ってゲームとしての遊びの楽しさが少なかったり、原作ファンでなくても楽しめますよ、と謳っておきながら、実際はコアなファンしかわからない内容だったり。
そういう意味でボクのなかでは、低年齢向けのゲームの印象はあまり良くなかったのですが、ここ最近、「おっ、これは面白いじゃん」という作品もチラホラ増えてきたんですよね。
たとえば『クレヨンしんちゃんDS 嵐を呼ぶ ぬってクレヨ?ン大作戦!』(ニンテンドーDS バンプレスト 2007年3月21日発売 5040円【税込】)なんかは、アクションゲーム好きなら原作のファンでなくても楽しめる作りになっているのが非常にいい。ニンテンドーDSの機能を上手に活かし、クレヨンを使ったぬり絵感覚の謎解きも遊びとして面白かったし。
さらに『とっとこハム太郎は?い! ハムちゃんずのハムハムチャレンジ! あつまれは?い!』(ニンテンドーDS マーベラスインタラクティブ 2007年3月15日発売 5040円【税込】)は、細部にまでこだわりを感じる丁寧な作りで、親子で楽しめる要素が収録されているのもウリのひとつ。ミニゲーム集なんだけど学習ソフト的な一面があるのも良かったです。
ほかにもここ最近発売された、アニメやマンガを題材にしたゲームでは、ニンテンドーDSの『ドラゴンボールZ 遙かなる悟空伝説』や『ドラえもん のび太の新魔界大冒険 DS』。はたまたWiiの『アイシールド21 フィールド最強の戦士たち』なんかも面白かったなあ。
この手のゲームって、「子ども向けだからゲーム内容も簡単に」という制作者側の意図もわかるんですが、その意味を間違えて「単純でスカスカ」な作品になっちゃダメだと思うんですよね。子ども向けだからこそ、より丁寧に、より興味が沸くような作品にしてほしいなあと。いまの時代、もう「子供騙し」は通用しないと思うんですよねえ。
ライター経歴
ローリング内沢
1970年、東京生まれ。ライター、エディター、コラムニスト、ゲーム批評家。ゲーム情報誌『週刊ファミ通』、『ファミ通Wave』(ともに株式会社エンターブレイン)の編集者を経て、2000年よりフリーとして活動。得意分野はゲーム、クラブミュージック、グラフィックデザインなど。また趣味が高じて、クラブDJとしても暗躍中。
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