ローリング内沢のゲーム イズ ノット オーバー
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ステージ223:"AR(拡張現実)ゲーム"の波はくるのか?
1990年の中頃に流行したバーチャルリアリティー(VR・仮想現実)という言葉。CGなどを使って人工的に"現実感"を作り出す技術のことだけど、軍事をはじめ、医療、教育、建築などの現場で幅広く活用され、もちろんゲーム分野にも多大な影響を与えたんですよね。
いわゆる"体感ゲーム"と呼ばれるものや、仮想空間で他のプレイヤーとコミュニケーションが取れる"ネットワークゲーム"なんてのも、VRを応用したものじゃないでしょうか。いまとなっては"死語"となってしまったけれど、ここ最近、そんなVRと対を成す概念として出てきたのが、オーグメンテッドリアリティー(AR・拡張現実)という言葉。
現実世界にコンピュータが作り出した情報を重ね合わせて情報を付加する技術のことなんだけど、わかりやすくいえば『ドラゴンボール』のスカウターみたいなもの。ほら、スカウター(小型スクリーン付きのメガネ)を通して現実世界を見ると、相手の戦闘能力がわかったりするでしょ?
で、このARですが、VRと同じく、もちろんゲームの分野でも注目されてまして、すでにいくつかARを活用した作品が登場してるんですよね。
たとえば、スウェーデンのゲームメーカー、A Different Gameが開発したニンテンドーDSiのアドベンチャーゲーム、『Ghostwire』。このゲームはDSi のカメラで風景を映し出すと、そこにはいないはずのゴーストが現れ、それをタッチペンで捕獲していくという作品。
また、ソニー・コンピュータエンタテインメントヨーロッパが制作した『EyePet』は、EyeToyカメラを使ったプレイステーション3用のペットゲーム。画面に映し出されるユーザーの動きにあわせてペットが反応し、あたかもテレビ画面のなかでペットを飼っているような気分が味わえる。
また、イギリスのEnjoy Gamingというゲームメーカーは、ニンテンドーDSiのカメラで映した風景がそのまま戦闘フィールドになる『System Flaw』というシューティングゲームを開発中。……これらはすべてAR技術を活用したゲーム。
AR技術を活用することで、テレビゲームの遊びの幅はさらに広がると思うし、また人によっては現実世界のモノの見方も大きく変わると思うんですよね(それが良いか悪いかは置いといて、これまでにない新しい驚きと体験が味わえる)。
今後、さまざまな作品が登場するであろう"ARゲーム"。VRのときもそうだったけど、個人的にはこのような新しい技術を使ったエンターテイメントは好きなんで、「こんなゲーム見たことない!」とビックリさせてくれるような作品が登場することを期待したいなあ。
【毎月、第2・第4金曜日更新】
ライター経歴
ローリング内沢
1970年、東京生まれ。ライター、エディター、コラムニスト、ゲーム批評家。ゲーム情報誌『週刊ファミ通』、『ファミ通Wave』(ともに株式会社エンターブレイン)の編集者を経て、2000年よりフリーとして活動。得意分野はゲーム、クラブミュージック、グラフィックデザインなど。また趣味が高じて、クラブDJとしても暗躍中。
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