ローリング内沢のゲーム イズ ノット オーバー
- Game is not Over -
ステージ218:面白いゲームは、プレイヤーの導き方も上手!
先日仕事でプレイした、とあるRPG。いままでのRPGには類を見ないゲームシステムが満載で、そのプレイ感覚は非常に斬新。各種演出やグラフィックのクオリティーも高く、さらにやり込み要素も満載なのですが……いかんせん遊びにくい。ようは、プレイしていて、何が何だかよくわからない、というのが正直なところ。
敵にカーソルを合わせて、コマンドで"攻撃"を選んで……という、おなじみの戦闘ルールやシステムならまだしも、これまでのRPGにはない"文法"が使われているだけに、遊び方を理解するまでがひと苦労。いちおう、操作説明やルール説明はあるんだけど、いまいち説明不足。さらに、ゲーム序盤からプレイヤーが出来ることが多すぎて、何をすればいいのか戸惑うし、なんか手探り状態で遊んでる感じでした。ルールやシステムをきちんと把握してからは面白くなるんだけど、それまでの敷居が高すぎるんですよねえ。
システムが斬新でルールが複雑、なのが問題ではなく、それを上手に説明しきれていないのが非常に残念……だということ。いわゆるプレイヤーの誘導が下手。
遊び手全員がゲーマーなわけではなく、もしかしたら、この作品から初めてゲームに触る人もいるかもしれない。そういう意味では、手取り足取り上手にアテンドしてほしいなあと。だって、ウン十年、さまざまなゲームを触ってきたこのボクでさえ、すべてのルールを把握して理解するまで、すごく時間がかかったもの。
たまーに、「このゲーム、序盤は少々複雑(もしくは単調)ですけど、3時間くらい遊べば面白くなりますから」なんて、作品の良さをアピールする人もいますけど、ボクからしてみれば、「じゃあそれまでの3時間はなに?」と思ってしまう。
本当に面白い作品なら、ゲームを立ち上げた瞬間(序盤)から面白いはず。つまり、ゲームも映画も小説も、ましてや講演会のスピーチや合コンなどにおいても、"つかみは重要"なんですよ。
だからといって、「システムやルールを簡単にすればいいんでしょ?」というのは、別の話。たとえば、ゲーム中の謎解きでユーザーの頭を悩ませるのはオッケーなんですが、その謎解きをさせる以前の操作方法やシステム面で、ユーザーを悩ましてはダメ、ということ。
これまでにない新たな試みはウェルカムだし、そういうチャレンジは多いに評価したいんですが、その見せ方(ユーザーの誘導)を丁寧にしてくれないと、結局、その面白さは伝わらないんですよね。なんかねー、最近ボクが遊んだゲームには、こういった感じの作品が多いな、と。
ゲームシステムやルールをいかにわかりやすく遊び手に伝えるか、そういった部分は、ゲーム人口が増えるにつれ、今後さらに重要になってきそうな気がします。
【毎月、第2・第4金曜日更新】
ライター経歴
ローリング内沢
1970年、東京生まれ。ライター、エディター、コラムニスト、ゲーム批評家。ゲーム情報誌『週刊ファミ通』、『ファミ通Wave』(ともに株式会社エンターブレイン)の編集者を経て、2000年よりフリーとして活動。得意分野はゲーム、クラブミュージック、グラフィックデザインなど。また趣味が高じて、クラブDJとしても暗躍中。
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