ローリング内沢のゲーム イズ ノット オーバー
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ステージ187:マジコンの輸入・販売差し止めを求める訴訟、ついに判決!
先日(2月27日)、任天堂をはじめとするゲームメーカー54社が、ニンテンドーDSソフトのコピーデータを利用できる機器の輸入・販売差し止めを求めていた訴訟の判決がありました。
ええと、わかりやすく言うとですね、「マジコンによって、ゲームメーカー各社は大きな被害を受けているので、マジコンの輸入や販売はやめんかい!」と、マジコン輸入販売業者5社を相手取って訴えていたということです。
その判決はといいますと、東京地裁はマジコン輸入販売業者に対して、マジコンの輸入販売禁止と在庫廃棄を命じるように言い渡したとのこと。つまり、ゲームメーカー各社の主張が全面的に認められたのです。
マジコンを知らない人のために説明しますと、マジコンとはいわゆるバックアップツールの一種でして、ゲームソフトをまるまるコピーすることができる機器の総称。私的利用によるバックアップ(コピー)は著作権法によっても認められていまして、マジコン自体には違法性はないので、東京だと秋葉原なんかにいけばフツーに売ってます。
しかしですね、問題となるのは「合法的な使い方をしているユーザーはほとんどいないのでは?」ということ。つまるところ、インターネットを通じて違法コピー版を入手する行為が横行しているため、今回ゲームメーカー各社が提訴に踏み切ったという流れがあります。
この手のモノに限らずとも、使う人のモラルによって違法にもなるグッズはたくさんあります。たとえば"包丁"。肉や野菜を切ることができる非常に便利な道具ですが、ひとたび使い方を間違えれば人を刺す道具にもなります。マジコンで海賊版をプレイしている人に限って、「もちろんボクは包丁で人を刺したりしないし」なんて言うかもしれませんが、いやいや、マジコンで海賊版をプレイするのは、"人を刺す(傷害)"と同じで"違法"に変わりはありませんから。
たぶん、そういう人たちは、"違法コピー"の罪の意識が薄く、友だちにノートを借りて、それを写す(コピー)する感覚で、マジコンを使っているのかもしれません。
マジコンで不正にゲームを遊んでいるユーザーが増えればゲームメーカーは儲からなくなるし、ゲームメーカーが儲からなければ制作費も出なくなりゲームを作ることが難しくなる。ゲームが発売されなければゲーム業界は衰退の一途を辿る。となるとボクらはゲームで遊べなくなる。大きく言ってしまえば、負のスパイラルなわけです。
ネット上では「お金を払ってまで遊びたいと思えるゲームがない! メーカーにも責任がある」という意見もあるようですが、だったら"買わなければいい"だけで、犯罪に手を染める必要はまったくないわけです。
ユーザーはマジコンを使わない。そしてゲームメーカーはユーザーの声を反映してより面白くて低価格のゲームを作る。そのような信頼関係が成り立ってこそ、ゲーム業界が盛り上がっていくのではないかと思います。
でもまあ、こういうことはイタチごっこなので、今回の一件でマジコンがすべて無くなることはないと思いますけど、多くのゲームユーザーにとって、"不正コピー"について考えるきっかけ作りにはなったのは、良かったのではないかと思います。
ライター経歴
ローリング内沢
1970年、東京生まれ。ライター、エディター、コラムニスト、ゲーム批評家。ゲーム情報誌『週刊ファミ通』、『ファミ通Wave』(ともに株式会社エンターブレイン)の編集者を経て、2000年よりフリーとして活動。得意分野はゲーム、クラブミュージック、グラフィックデザインなど。また趣味が高じて、クラブDJとしても暗躍中。
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