ローリング内沢のゲーム イズ ノット オーバー
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ステージ3:家庭用ゲームの有害図書指定って?
「暑いって言ったら100円な」……そんなことを言いたくなるほど暑い日が続いてますねえ。まだ7月入ったばかりだっつーのに。
で、今週はちょっとマジメなお話。家庭用ゲームの有害図書指定についてでっす。ニュースなどを見て、もうすでに知ってる人も多いと思うんですが……去る5月30日に、残虐な内容が含まれるとの理由で、家庭用ゲームソフト1本が神奈川県青少年保護育成条例の"有害図書"に指定されたんですよね。しかも家庭用ゲーム初となる有害図書指定。
つまりどういうことかっつーと、「若者の育成上好ましくないモノなので販売を規制したりしましょうよ」ってこと。ちなみに神奈川県の条例で有害図書となったゲームは、『グランド・セフト・オートIII』(カプコン プレイステーション2)。
この有害図書指定によって、『グランド・セフト・オートIII』は神奈川県内の販売店において18歳未満への販売が禁止、さらに販売時もほかの商品と分けて陳列することが義務づけられるようになって、違反した場合は30万円以下の罰金が課せられるんだとか。
みなさんはこの件、どう思いますか? 世の中にはゲーム以外にも過激だと思われる、映画だったりテレビ番組だったりマンガだったりインターネットサイトとかいろいろあるワケですよね。
しかし、ゲームが若者の犯罪を助長する、またはその恐れがあるということを明確にしたデータなどが不明確なまま審査されているよう。ちなみに神奈川県では、県職員が実際にゲームをした様子を撮影した10?20分程度のビデオ画面を見て審議し、「判断力の乏しい子どもが見ると事件につながる可能性がある」と判断したとのこと。え、たった10?20分程度の映像で? しかも、審査にはゲーム業界人は参加していないんだとか。
この手の問題って、問題は作品の受け手側にあると思うんですよね。たとえばですよ、包丁って野菜や肉を切ったりする便利な道具で生活に無くは困るモノてすよね。でも使い方によっては人に危害を与えることもできる。ようはその人(受け手側)がどう思うか、どう使うか、どう判断するか、ってことだと思うんです。包丁を手渡したからって、全員が全員、人に危害を加えるかというとちょっと違う。
また、今回の有害図書指定を受けたのは、プレイステーション版の『グランド・セフト・オートIII』のみ。同名のXbox版も発売されているのにそちらは対象外だし、また同シリーズの『バイスシティ』も対象外。
明確な根拠や基準のうえでの対処ならともかく、ちょっと曖昧な部分が感じられる部分も。個人的には、今回の件でゲーム業界の活性化を阻害するようなことにならなければと思ってます。
ライター経歴
ローリング内沢
1970年、東京生まれ。ライター、エディター、コラムニスト、ゲーム批評家。ゲーム情報誌『週刊ファミ通』、『ファミ通Wave』(ともに株式会社エンターブレイン)の編集者を経て、2000年よりフリーとして活動。得意分野はゲーム、クラブミュージック、グラフィックデザインなど。また趣味が高じて、クラブDJとしても暗躍中。
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