ローリング内沢のゲーム イズ ノット オーバー
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ステージ21:『ワンダと巨像』の興奮冷めやらず
発売日の深夜、無性に欲しくなって、家の近所のTSUTAYAに駆け込み買っちゃいましたよ、アクションアドベンチャーゲームの『ワンダと巨像』(プレイステーション2 ソニー・コンピュータエンタテインメント 10月27日発売 7140円[税込])。
じつは、この作品、発売日まえに仕事でちょこっとだけプレイしたことがあるんですけど、そのときの衝撃と興奮が忘れられず、いち早く家で遊びたかったんですよね。
しかし、すっかり発売日を忘れてしまい、気が付いたときにはすでに深夜。「もう、ゲームショップも閉まってるし明日買うかあ」、なんて思っていたのですが、ヤリたい盛りの中学生よろしく、テンションが上がっちゃって、深夜にゲームを売っている店をネットで検索して、無事購入に至ったワケなんです。
ゲーム業界でウン十年も仕事をしていますと、ゲームをプレイして衝撃を受けたり興奮したりということが、昔と較べて少なくなってきているような気がするんですよね。いや、もちろん面白いゲームは単純に面白いって感じるんですけど、「こんなゲームいままで見たことがない!」とか、「うわっ、やられたー!」というような、脳天にカミナリが落ちるくらいの衝撃は薄くなった印象。
たとえばですよ、めちゃくちゃ美味しいと思った食べ物でも、毎日のように食べ続けていれば、初めて食べたときの衝撃や感動って薄れていくものじゃない。そんな感覚に近いのかも。
そんななか、『ワンダと巨像』はひさびさにガツーンと来た作品で、自分のなかでは『Killer7』(カプコン 6月9日発売 プレイステーション2/ゲームキューブ)以来の衝撃かも。
ちなみに『Killer7』は、クールなメッセージやシナリオ、また、トゥーンシェードと呼ばれる描画技術を使ったアメコミっぽい独特のグラフィック、そしてアイテム表示画面やセーブ画面、ロゴタイプやフォントなど、細部にまで渡りこだわって作られたトータルデザインに芸術性を感じて、「うわー、すげぇ!」と思ったんですけど、『ワンダと巨像』には、圧倒的な実在感を感じて衝撃を受けたワケなんです。
まさに、あたかもその場にいるかのように思えるリアリティー。贅沢なほど細かいところまで描き込まれた草原や砂漠、森、洞窟、滝などの風景はもちろんのこと、光や闇、煙、風、水しぶきなどの空気感っていうのかな、そんな部分までこだわって作られている作品なんです。
さらに初めて巨像と対峙したときの興奮は、いままでに体験したことのない感覚で、コントローラーを握る手は汗でぐっしょり。巨像にしがみつき、よじ登り、弱点を探して剣でとどめを差したときの達成感、爽快感はとても気持ちが良い。
現実と異なる世界を、あたかも現実のように魅せるためにはリアリティーがとても大事だと思うんですけど、これが乏しいと、その世界が白々しいものになってしまいますよね。
単に、現実世界を忠実に描写したようなリアルな映像だけでは、そこにリアリティーは生まれないんですよね。リアルとリアリティーはまったく別もの。現実ではなく、いかに現実味を醸しだしているかが重要であって、そういう意味では、『ワンダと巨像』の世界観や空気感にはリアリティーを感じるんです。
なので、愛馬アグロにまたがって、ただその世界を散歩しているだけでも楽しいんですよね。まさに異世界の夢を見させてくれる作品。まだプレイしていない人はぜひ体験してほしいな、と思います。
ちなみにボクは先日クリアーしました! しかし、その興奮はまだまだ冷めておらず、もう一度最初からプレイしたいと思ってます。
ライター経歴
ローリング内沢
1970年、東京生まれ。ライター、エディター、コラムニスト、ゲーム批評家。ゲーム情報誌『週刊ファミ通』、『ファミ通Wave』(ともに株式会社エンターブレイン)の編集者を経て、2000年よりフリーとして活動。得意分野はゲーム、クラブミュージック、グラフィックデザインなど。また趣味が高じて、クラブDJとしても暗躍中。
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